菊芋とは?品種や、歴史や食用以外の用途について解説

菊芋は、スーパーフードとして近年注目を集めている野菜です。
低カロリーで血糖値を上げにくい特徴があるため、ダイエットや血糖値が気になる方に人気です。
この記事では、まだ菊芋を知らない方向けに菊芋の概要や、栄養、歴史や食用以外の用途について解説します。

菊芋とは

キクイモは、ここ最近に注目を集めているキク科の野菜です。
学名はHelianthus tuberosus(ヘリアンサス・ツベローサス)で、キク科ヒマワリ属の多年草です。
夏〜秋にかけて黄色い花を咲かせ、地中にできる塊茎は食べることができます。

菊芋の品種

菊芋には、主に

  • 白菊芋
  • 赤菊芋(紫菊芋 、仏キクイモ)

の2種類があります。

このうち、日本で栽培されているほとんどの菊芋は「白菊芋」という品種で、わずかに赤菊芋が栽培されています。

また、他にも2017年に佐賀大学によって新しく品種登録された「サンフラワーポテト」などがあります。
生産量については農林水産省の大規模調査は実施されていませんが、日本特産農産物協会の資料では生産量トップは山形県となっています。

菊芋の発祥と歴史

菊芋(Jerusalem artichoke)は、北アメリカ北部から北東部が原産地だと言われています。
ヨーロッパ人がアメリカ大陸に移住する前から、アメリカインディアンは栽培していたとされていたことがわかっています。

幕末に日本に渡来

日本への渡来は 1859年に来日したイギリス駐日総領事が勧めたのがきっかけと言われています。[1]
当初は家畜の飼料用として導入されていましたが、保存がしにくいことや繁殖力が非常に強すぎて畑の栄養素を全て吸収してしまうことから、なかなか普及しませんでした。

戦時中はアルコールや果糖の原料に

戦時中には、菊芋からアルコールや果糖を製造していました。

第二次大戦中の日本は食糧難だったため、繁殖力の強い菊芋は貴重な食料となります。
当時の政府によって作付統制野菜に指定され、救荒植物として各地で栽培が奨励されるようになりました。
味がイモよりも淡白なので、質が劣ることを意味するシシイモやブタイモと呼ぶ地方もあります。

健康食品として近年注目

戦後は野生化するままに放置されていた菊芋ですが、近年、再び注目を集めています。
菊芋に含まれるイヌリンが、血糖値の上昇を緩やかにすることがわかり、糖尿病患者の食べ物として注目されるようになりました。

また、医療の発達によって腸内環境と脳が密接に関わっていることがわかりました。
近年はメンタルに不調を訴える人が増加していますが、その原因が腸にあるとも言われています。
イヌリンは腸内環境を整えるオリゴ糖を含むため、再び菊芋の価値が見直されています。

菊芋の葉っぱ

菊芋の葉は、食べることができます。
おひたしにしたり、天ぷらにして食べる他、乾燥させてお茶として飲まれてもいます。

キクイモの葉は、細長い卵形で先端が尖り、縁には粗いギザギザがあります。
花の見た目がほぼ同じの菊芋の亜種、「イヌキクイモ」との違いは、葉のつき方で見分けます。

菊芋の花

菊芋は、ヒマワリに似た鮮やかな色の花を咲かせ、観賞用とても親しまれています。
「イモ」と名前がついていますが、実はヒマワリの近縁種で、常に花を太陽に向ける性質があります。
8~10月に花を咲かせ、徐々に地下の塊茎が膨らみ始め、11月以降に収穫できるようになります。

菊芋の栄養

菊芋に含まれるイヌリン

イヌリンは、菊芋に多く含まれる食物繊維です。
消化酵素によって消化されず、腸内の善玉菌のエサとなるため、腸内環境を整える効果があるとされています。

イヌリンを多く含む食材としては菊芋が最も多く、次いでヤーコンやチコリーなどがあります。

菊芋の可食部100gあたりの栄養

エネルギー(100g中) 35kcal
糖質量(100g中) 12.8g

栄養成分表(可食部100gあたり)

成分名 含有量(可食部100gあたり)
たんぱく質 1.9g
脂質 0.4g
炭水化物 14.7g
カルシウム 14mg
0.3mg
B1 0.08mg
B2 0.04mg
C 10mg

 

菊芋の健康効果

  • 健康に有効な成分であるイヌリンが多く含まれている
  • ビタミンやミネラルが豊富
  • 低カロリーである
  • 血糖値が上がりにくい

このような特徴から、ダイエットしたい方や、糖尿病にお悩みの方から人気になっています。

菊芋の食べ方やおすすめのレシピ

菊芋は、デンプンをあまり含まないので、イモに比べると淡白な味わいです。
レンコンのようなシャキシャキとした食感があり、アク抜きして生で食べることができます。

カロリーがとても低いので、生のままサラダに入れたり、味噌汁に入れたりして、毎日食べても太りにくい食材と言えます。
揚げ物では、天ぷらや菊芋チップス、漬物では酢漬けや味噌漬けなどで食べられています。

菊芋の食用以外の用途

アルコールの生産

キクイモからは、エタノールとブタノールを作り出すことができます。
しかし、この方法でアルコールを生産するにはコストがかかり過ぎてしまうため、あまり普及していないようです。

果糖の生産

果糖(フルクトース)は果物に含まれる糖で、砂糖より1.5倍も甘さがあります。
現在、多くの果糖はとうもろこしから生産されていますが、菊芋からも果糖の生成は可能です。
しかし、こちらもコストがかかりすぎることから、あまり普及していません。

参考文献

[1]キクイモ(菊芋)(キク科ヒマワリ属)|野田市ホームページ

 

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