キクイモに似た花-キクイモモドキとイヌキクイモの違いを解説

鮮やかな花を咲かせるキクイモは、食用だけでなく観賞用としても人気があります。
しかし、日本の野草であるイヌキクイモ、キクイモモドキ、ヒマワリモドキなどの花は、キクイモにとてもよく似ています。

この記事では、キクイモとイヌキクイモ、キクイモモドキの違い、見分け方とお伝えします。

結論から言うと、菊芋とキクイモモドキには、種としての違いがあります。
しかし、菊芋とイヌキクイモに種としての違いはなく、イヌキクイモは菊芋の亜種とされています。

菊芋とキクイモモドキ(ヒメヒマワリ)の違い

キクイモモドキは、正式な学名ではHeliopsis scabraと呼び、ヘリオプシス属(Heliopsis)に属します。
ヘリオプシス属は、日本ではキクイモモドキ属とも呼ばれます。

キクイモモドキその名の通り、キクイモに似た花を咲かせる植物で、花の見た目でははっきりとした違いがわかりません。
キクイモとキクイモモドキの違いは、葉の形状と、葉の付き方です。

葉のつき方よる見分け方

見分け方は、葉の形状や、葉の付き方です。
キクイモモドキの葉は、すべて対生(葉が向かい合って二枚出る生え方)します。
一方でキクイモの葉は、下部の葉は対生、上部のものは互生(葉が1枚ずつ互い違いに出る生え方)をします。

葉の形状よる見分け方

キクイモモドキの葉は、卵形で、縁にはギザギザがあります。
キクイモの葉は、細長い卵形で、先端が尖り、縁には緩やかにギザギザがあります。

ヒマワリ属のヒメヒマワリとキクイモモドキ

キクイモモドキは、別名ヒメヒマワリ(宿根姫ひまわり)とも呼ばれることもあります。
ややこしいのですが、ヒマワリ属にも同名のヒメヒマワリ(学名:Helianthus cucumerifolius)が存在します。


ホームセンターなどで売られている「宿根姫ひまわり」は、ヒマワリ属ではなくヒマワリモドキ属の植物です。

ヒマワリ属のヒメヒマワリは別名ヘリアンサス・デビリス(Helianthus debilis)とも呼ばれ、見た目はヒマワリに近いです。やや暑さに弱いのと、ヒマワリほどの個性がないためか、日本ではあまり栽培されていません。

キクイモ(菊芋)とイヌキクイモ(犬菊芋)の違い

イヌキクイモはキクイモの別種ではなく、同種と考えられています。
(キクイモの変異種とされていますが、Helianthus strumosusの学名が当てられています。)

イヌキクイモとキクイモの違いを判別する方法は、花や葉の特徴からではわかりません。[2]
外来種であるヒマワリ属はそもそも雑種が生まれやすいので、はっきりとした区別ができないという背景があります。

塊茎の大きさの違い

唯一わかりやすいキクイモとイヌキクイモの違いは、おおきな芋(塊茎)が出来るかどうかです。

菊芋は塊茎ができるが、犬菊芋の塊茎は小さい

今のところ、イヌキクイモかどうか確認するためには掘り起こさなければならず、地上部だけで見分ける方法はないとされています。
なお、イヌキクイモの塊茎はこぶの少ない紡錘形で、食べることができます。

開花時期の違い

キクイモは9月~11月に開花しますが、イヌキクイモは8〜9月に開花するため、イヌキクイモの方がやや早く開花します。[1]

菊芋に似た花とそれぞれの分類上の違い

菊芋に似た花には

  • ヒマワリモドキ(Heliopsis helianthoides)
  • キクイモモドキ(Heliopsis scabra)
  • オオハンゴンソウ(Rudbeckia laciniata)

などがあります。
これらの花は、全て別種の植物です。

一方で、

  • 白キクイモ(一般的な菊芋)
  • 赤キクイモ
  • イヌキクイモ

は、すべて菊芋(学名:Helianthus tuberosus)の仲間です。

生物の分類と種の違い

生物の分類は、界・門・綱・目・科・属・種の順番で細かく分類されています。

動物を例にすると、秋田犬もシベリアン・ハスキーも、同じイヌ科・イヌ属(学名:Canis lupus familiaris)の一種です。
赤菊芋もイヌキクイモも、同じ菊芋という種(Helianthus tuberosus)なので、植物学的な分類では同種になります。

なお、イヌキクイモは交雑しやすく、同定※1が難しいため、菊芋と同種とするかどうは意見が分かれています。※2
※1生物の分類でどこに属するか決めること
※2イヌキクイモは、キクイモの変異種とする見解もあります。

生物の分類と属の違い

キツネやタヌキは、生物の分類上は秋田犬や柴犬と同じイヌ科に入ります。
しかし、キツネはキツネ属、タヌキはタヌキ属というように、イヌ科の中でも「属」というくくりで分かれてます。

キクイモモドキやヒマワリモドキにも属名がついており、キクイモとは同じキク科の植物でも、属が違います。

属が違うということは、柴犬とキツネくらいの違いがあるので、特徴もかなり違います。

まとめ

  • イヌキクイモは菊芋の亜種とされており、塊茎が有無の違いしか見分ける方法がない
  • キクイモとキクイモモドキ、ヒマワリモドキ、オオハンゴウソウは別種の植物
  • キクイモモドキ(ヒメヒマワリ)とキクイモには、葉の形状やつき方に違いがある

参考文献

[1]参考:キクイモ - 国土交通省 北海道開発局
[2]要注意外来生物に係る情報及び注意事項

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