プロバイオティクスとプレバイオティクスは、たった一文字だけの違いなのでややこしいですよね。
簡単に解説すると、プロバイオティクスは善玉菌を摂取すること。プレバイオティクスは善玉菌のエサを摂取することという違いがあります。
この記事では、プロバイオティクスとプレバイオティクスの違いや、それらを組み合わせたシンバイオティクスについて解説します。
プロバイオティクスとプレバイオティクスの違い
定義 | 効果因子 | |
---|---|---|
プロバイオティクス | 適正な量を摂取することにより、宿主に有用な作用を発揮する生きた微生物[1] | 乳酸菌、ビフィズス菌など |
プレバイオティクス | 腸内の微生物の増殖を促進することで、健康の維持増進をもたらす食物のこと[2] | オリゴ糖、レジスタントスターチ(RS)など |
プロバイオティクスとは
プロバイオティクス(probiotics)とは、私たちの健康に良い働きをしてくれる微生物のの総称です。
具体例としては、乳酸菌やビフィズス菌などがあります。
その他、微生物を含む食品(ヨーグルトや乳酸菌飲料)自身をプロバイオティクスと呼ぶこともあります。
共生を意味するプロバイオシス(probiosis:pro 共に、biosis 生きる)が語源となっています。
プロバイオティクスの要件として、
- 安全である
- 標榜する保険作用を裏付ける科学的根拠がある
- 製品として市場に提供されてからの品質が担保されている
が挙げられます。
プレバイオティクスとは
プレバイオティクス(prebiotics)とは、腸内の微生物の増殖を促進することで、健康の維持増進をもたらす食物のことです。
プレバイオティクスの具体例としては、オリゴ糖が挙げられます。
英国の微生物学者Gibsonによって1995年に提唱され、「pre:前に、先立って」が語源となっています。
プレバイオティクスとして認められるためには、以下の条件を満たす食品である必要があります。
- 消化管上部で分解・吸収されない
- 大腸に共生する有益な細菌の選択的な栄養源となり、それらの増殖を促進する
- 大腸の腸内フローラ構成を健康的なバランスに改善し維持する
- 人の健康の増進維持に役立つ
菊芋に含まれるイヌリンは、分解されるとプレバイオティクスであるオリゴ糖になります。
腸内環境を整えたい方や、糖尿病にお悩みの方は、手軽に摂取できるオリゴ糖としておすすめです。
シンバイオティクスとは
シンバイオティクス(synbiotics)とは、プロバイオティクスとプレバイオティクスを併用することです。
乳酸菌とオリゴ糖の両方を摂取することで
- 腸内の乳酸菌が増える
- オリゴ糖が乳酸菌のエサとなる
この2つが同時に行われるため、効率よく腸内フローラの改善することができるとされています。
特に、消化器外科、救急救命、小児外科などの領域でシンバイオティクスの研究が進んでいます。
手術後に体力や免疫力が低下した患者に、シンバイオティクスによって乱れた腸内フローラを改善することで、感染症や合併症の予防につながることが報告されています。
参考文献
[1]what are probiotics?|ISAPP - International Scientific Association for Probiotics and Prebiotics
[2]what are prebiotics?|ISAPP - International Scientific Association for Probiotics and Prebiotics